発音器官 ・ 主
な子音をまとめた表
・ 肺気流機構による子音(使用する発音器官:唇から次第に奥へ)
・ 肺気流機構によらない音韻(放出音、内破音、吸着音)
地球語「試案」の表音システムでは、基本的な無声子音を表示するために、
その調音に使う主な発音器官を象る記号を使います。
そしてそれら無声音の基本記号を有声化した類似の子音には、
それぞれの「対」になる近似形の記号を充てています。
* 無声音に「有声化記号」を重ねて同類の有声音の「重ね記号」を造ることにすれば、
記号数をもっと減らせます。けれども見やすさの点やタイピングにはかえって不便です。
そこで、対記号という形で記憶量を倹約しながら、有声・無声、両音の記号を準備しました。
1: 上唇 2: 下唇 3: 上前歯 4: 歯茎 5: 硬口蓋
6: 左・右または両サイドの歯と歯茎 空間は口腔
7: 軟口蓋 8: 口蓋垂 9: 舌先 10: 前舌
11: 舌の左・右または両サイド 12: 奥舌 13: 鼻腔
14: 咽頭 15: 声帯 16: 気管
17: 食道 (声帯を失った人が使う場合がありますが、地球語では記号化していません)
* 発音を変化させる記号を合成するとき、元の破裂音・摩擦音の子音記号は、
調音に使用する主な発音器官の形を暗示します。また、いくつもの発音器官の特徴を
同時に働かす発音は、子音同士の「重ね記号」で表します。
* 説明文中の [ ] 内は国際表音記号(IPA)です。
鼻音
気流がまっすぐ上に昇っ
て鼻腔を通りぬけることを示す記号;
口を閉じ声帯で発した音声を全て鼻から抜く、ハミングの音声; 重ね記号のなかでの働きは:
・破裂無声子音との重ね記号: 子音の位置まで口腔に気流が入る有声鼻音
(無声鼻音には、
05(無声)を重ねて表現)
・母音との重ね記号: いくらか鼻からも息が漏れる鼻声の母音 例 :鼻に掛かった声のア
肺気流機構によらない音韻
唇歯音: 歯と下唇の間で調音
(37): 下唇を持ち上げた形の記号 [ f ] 上歯と下唇の間の摩擦無声音。
(38): を逆さにした対記号 [ v ] 上歯と下唇の間の摩擦有声音。{38,63(ゆるめ)}: 唇歯接近音
歯音: 舌先および舌の端と上歯との間で調音{20(外方向へ),48[ t ]}: 無声破裂歯音
{20,47[ d ]}: 有声破裂歯音
{20,65[ s ]}: 無声摩擦歯音(英語のtoothのthの発音)
{20,66[ z ]}: 有声摩擦歯音(英語のtheyのthの発音)
#48, #47, #65, #66については次項を参照してください。
歯茎音: 舌先および舌の端と歯茎との間で調音
(48): [ t ] 伸ばした舌の象形; 上歯茎に舌を当てて口内の気流を閉じ、破裂的に開いて出す無声音{11(気流を止め る),48} : 舌を歯茎に当てて気流をストップ
(47): [ d ] #48を逆さにした対記号; 上歯茎に舌を当てて口内の気流を閉じ、破裂的に開いて出す有声音
* 子音の調音位置で気流と音声を止めるには、子音に#11 を重ねます。
それまでの音声をこの位置で止めることを表し、この記号自体は無音です。
(65): [ s ] 気流が通り抜ける上前歯の隙間を象った記号; 上歯茎に舌先を近づけて出す摩擦無声音
* ハングルの〔 s 〕の記号に偶然似ました。ハングルも同じ考えで形を造られたからです。
(66): [ z ] #65を逆さにした対記号; 上歯茎に舌先を近づけて出す摩擦有声音{48,65} : 48、65の混合; 歯茎破擦無声音(日本語の「つ」を構成する子音です)
(14): [ l ] 舌が呼気の通路を左右に分けている象形
{47,66} : 47、66の混合; 歯茎破擦有声音
* 破裂子音と、それよりも奥で調音する摩擦子音の記号を重ねると、
破裂から摩擦に瞬時に移行する破擦音を示します。
単純に破裂化・摩擦化する場合には、それぞれのための分音記号44(破裂音化)・
12(摩擦音化)をかさねて、破擦音と区別します。
舌先を歯茎に当てて舌の側面から気流を抜いて調音する側面音。
重ね記号のなかでは、側面音化の働きをする。
* 重ね記号の例は半母音の項目も参照してください。(55):舌で口腔の上壁をはじく側面の象形; 舌で歯茎部を一度はじいて発音。
重ね記号内では、はじき音化する。{31,48}:両唇をとがらせながらの無声破裂歯茎音
{14,55}:側面音の舌で歯茎をはじく
{41,55}:震えるように繰り返し舌先で歯茎をはじきながら出す音声
( 例:スペイン語のperro [pero] (dog) のなかの rr )
{05(無声音化),12(摩擦化),14}:無声歯茎側面摩擦音(品のいい音とはいえませんね)
{12,14} :有声歯茎側面摩擦音
{14,60(左右アンバランス)}:歯茎片側面音
{60,12,14}:歯茎片側面摩擦音
{66[z],52}:歯茎硬口蓋摩擦有声音
{12(摩擦),51[ c ],65[ s ]}:歯茎硬口蓋摩擦無声音( 例:鹿のシの子音)
後部歯茎音: 同時に舌の前部も硬口蓋に向けて持ちあげながら、舌の先・端と後部歯茎の間で調音{19(奥へ),48[ t ]}: 後部歯茎破裂無声音
{19,47[ d ]}: 後部歯茎破裂有声音
{19,65[ s ]}: 後部歯茎摩擦無声音
{19,66[ z ]}: 後部歯茎摩擦有声音
反り舌音: 舌の両脇を奥歯にあてて中をくぼませカールした舌と硬口蓋前部・歯茎部の隙間で調音。
(36):カールした舌の 象形。単独記号では、反り舌接近音。
重ね記号のなかでは、反り舌化の働き。
* 半母音の項目にも重ね記号の例がでています。[ r ] {36,41(ふるえ)}: 反り舌ふるえ音
{36,47[ d ]}:反り舌破裂有声音
{36,48[ t ]}:反り舌破裂無声音
{36,65[ s ]}:反り舌摩擦無声音
{36,66[z]}:反り舌摩擦有声音
{36,55(はじき)}:反り上げた舌で奥から外方向へ歯茎の辺りをはじきながら発声{36 [r],39 [p]}: 英語の pray, program などの pr は1子音です。p と r を同時に調音し発音します。
{14 [l],39 [p]}: play, plan などの pl も同様で、 p と l は同時発音の子音です。
硬口蓋音:前舌と硬口蓋の間で調音
(51): [c] 硬口蓋断面の象形記号;硬口蓋破裂無声音 (例: [kuca] of 'kutya' in Hung.)
(52):#51と上下逆の対記号;硬口蓋破裂有声音 (例:dge of 'judge' in English){12,51}:硬口蓋摩擦無声音 (例:ドイツ語の ich )
{12,52}:硬口蓋摩擦有声音
{63(ゆるめ),52}:[ j ] 硬口蓋接近音;母音との重ね記号で硬口蓋化の働き
* [ i ]と同じ。ヤ行の子音。軟口蓋音: 軟口蓋に舌の中ほどを持ち上げて調音
(09): [ k ] 舌を半ばから上に持ち上げた側面の象形;
舌の半ばを軟口蓋に当てて気流を閉じ破裂的に発生させる無声音。
*ハングルの[ k ]の記号と、これもまた偶然似ています。
(10): [ g ] #09と斜め対称形の対記号; 舌半ばを軟口蓋に当てて出す破裂有声音。{63(ゆるめ),10}:軟口蓋接近音、母音 #30に同じ; 母音との重ね記号で軟口蓋化の働き
{12,09}:軟口蓋摩擦無声音
{12,10}:軟口蓋摩擦有声音
{09,65[ s ]}: k と s との破擦音(sの構えをして k を発音)
{12,09,65}:歯茎・軟口蓋摩擦音(#12(摩擦音化)があるので同時に両方を摩擦で発音)口蓋垂音:舌の奥と口蓋垂の間で調音
(45): [q] 口腔から気管や鼻腔への分かれ道を象徴した記号; 口蓋垂破裂有声音{15(有声音化),45}:[ G ] 口蓋垂破裂有声音
{12(摩擦音化),45}:口蓋垂摩擦有声音
{05,12,45}:口蓋垂摩擦無声音
[R] {41,45}:口蓋垂ふるえ音( フランス語の'rue'の[ R ] )
咽頭音:咽頭の前後の壁の間で調音
(70):間で縮められる 縦の空間を象徴した記号;咽頭摩擦無声音。
重ね記号のなかでは、重ねた記号の音声を咽頭を狭めて出すことを表示
(母音または有声音との重ね記号が可能){02(鼻音化),70}:咽頭を狭めた鼻音
{67,70} :[ a ] の口の構えで発する咽頭音
{40,70}:咽頭を狭めて発する両唇破裂有声音声門音: 声門の開閉・狭め・摩擦などで調音
(68):[h] 母音ア の対記号で、気流が通過する口腔・咽頭が開いている象形;
声門で摩擦させて出す無声音。
他の子音との重ね記号では、他の子音を帯気音化([ h ] の摩擦音が聞こえるように発音)する機能
* とは、何らかの母音の口を「同時に」開いていなければ
有声音化または具体的な音節として表現できません。アルファベットの表記とはちがって、
母音を後に続けるのではなく重ねて1記号で表します。{02,68}:帯気鼻音 (マンガなどで「フン!」と表されることが多い音)
(11): この記号は、左から右に流れる地球語文書の中では流れを止める形を象徴;
{34,68} :[ ho ] 母音オを伴う音節「ホ」
{47,68}:[ dh ] 帯気音化したd
{20(外方向へ),68}:声門よりもやや上(外に近い)の喉頭蓋での摩擦無声音
声門閉鎖音(これ自体は音を持たず、前の音を声門でストップ)。
重ね記号のなかでは、相手の子音の発音器官で音声を閉鎖する、閉鎖符号の機能
(44):中央から破裂的に広 がるイメージの象形;単独では喉頭蓋破裂音。
重ね記号の中では、相手の音韻を破裂音に変化させる機能。
相手が母音の場合にはその母音の口の構えで声門破裂させて発声{02,44}:完全に口を閉じて息を鼻に抜く喉頭蓋破裂音(「んっ!」)
{67,44}:アの口の構えで声門破裂音
(「あっ!」:日本語では区別不可能ですが、「あ」と発してから急に止める とは異なります。)
放出音: 口腔中に完全閉鎖を作り、その中の空気を発音器官の閉じた隙間から放出して作る音
(21) :外へ向かう形(左から右に書き進める地球語では、右が外、左が内の位置づけ)で放出をイメージさせる記号;
放出音を表示。常に重ね記号として用い、ふつうは を閉じ口腔に溜めた空気を、重ね相手の子音の位置から放出する。
(06):表意文字とし
て「逆」を表す記号を「肺からの気流とは逆」の意味で表音記号化したもの。
常に重ね記号として用い、重ねた相手の子音の閉鎖部から空気を内部に取り込んで発音することを表示。
内破音
(22):閉鎖した空間
を持ち、内に向かう形の記号; 閉鎖空間に破裂的に外気を取り込んで出す音を表示。
声門閉鎖の内破音:
{31,22} 、 {39,22}、 {20,48,22} 、 {14,22} 、 {14,60,22}
{48,22}、
{48,51,22} ・・・
吸着閉鎖音: クリック、舌打ち音。
{09,22}:
(軟口蓋)で肺気流を遮断し、口腔内に閉じた外側の発音器官を開きながら破擦的に外気を取り込んで発するクリック音。この重ね記号にさらに外気を取り込む位置の記号を重ね
て表示。
*南アフリカには、音声を含まない多くのクリックを区別し、言語として使う民族もいます。
{09,31,22}:とがらせた両唇による吸着音(キスの擬音に使いますね)
{09,39,22}: 自然な両唇を開く吸着音(赤ちゃんをあやしたりする)
{09,48,22}: 歯に当てる舌打ち音(日本語でふつうチェッと書かれる)
{09,14,22}: 舌先を歯茎に当てたまま舌の両側面を開く吸着音
{09,14,60,22}: 舌先を歯茎に当て、舌の片側は閉じたまま、もう片方を開く吸着音
{09,48,22}: 巻き舌での舌打ち音
{09,48,51,22}: 硬口蓋に舌を当てて出す舌打ち
#03 (長音符号 )
が吸着音の記号に重ねられた場合には、音を発しながら吸着する時間が長いことを示します。
例:は軽く瞬間的なキスの
音、
はその長~い音です。
* 主な子音をまとめた表もあわせてご覧ください。