内容が表音または特別な表音であることの表示 ・ 固有名詞の音声の省略的表現 ・ 音声の分類、整理
地球語の「試案」では、記号を表意・表音に兼用するので、
システムの区別や音声の整理を容易にするために補助括弧を用います。
は、表音システムのための補助括弧です。次のように使用します。
{pl,05,42} pr:
これで挟まれた文字は、すべて無声音化した会話(内緒話の話し方)の音声表記です。
中に表音記号を入れた右囲いの表音補助括弧は、中の記号の発音にかかわる固有名詞の略字です。
長く連なる表音記号が同じ文書にくり返し登場すると、文書が重くなります。
そこで名前を代表する音素または音節の記号を重ねてこの補助括弧に入れ、
一時的な1文字の略字として扱います。その名が文書の最初に出てきたときに、
略字の読み方を読者に正確に知らせ、巻末にその文書に登場するすべて
の略字を
整理して添付すると、読者は途中で読み方を忘れても調べられます。
例:
:
(Washington の略字 とその発音の仕方)
この考えから次のような応用も考えられます。
情報時代には、固有名詞も世界共通が望まれるのはいうまで もありません。
地球語では、地名や歴史上の重要人物名などの固有名詞をオリジナルの発音に従って表記し、
その略記の仕方も協議しながら一定にしてはどうでしょう。固有名詞の略記には2つ方法があります。
① 名前の意味が重要素の場合:主要な意味を表意字母で「重ね文字」とし、
右囲いの表意括弧に入れて略字とします。
国名・特徴的な土地や山川の名などでは憶えやすくていいでしょう。② 音声が主体の名前の場合:オリジナルの発音の表記の中から代表記号を選んで 重ね、
右囲いの表音括弧に入れます。
共通化には、略字同士が重複しないよう記号を選んで設定するといいでしょう。同じ姓名の人物でも、代表記号の選び方によって略字の区別はできます。
正確には計算してませんが、 この方法で数万の固有名詞の略字を共通に
区別するのは、そう難しくありません。いずれの場合にも、略字の中に名前を思い出す手掛かりがあります。
また、補助括弧があるので固有名詞の略字だと一目でわかります。
外国暮らしの中では、固有名詞と普通名詞の聞き分けが苦労の種です。
共通社会では、固有名詞がそれとわかり、さらに何の名か、
その種目まで即座に明らかに伝われば助かるでしょう。
仮に Washington の略字を上記のように と決めたとします。
その名は、人名のこともあれば、州、都市、 通りの名や、山、川の名前である場合があります。
文中に突然この名前記号だけが出てきたのでは、背景に馴染みのない者は戸惑うでしょう。
そこで何の名前かを区別するために次の備えをします。(dl, pr): 右囲いの表音括弧(pr)に入った名前の略字の直前に、
左囲いの表意括弧(dl)に、人・民族・グループ・大陸・ 山・川・国・州・都市・街・通りなど、
該当する内容を表す表意文字を入れて配置し、固有名詞が何に関するものかを同時に伝えます。
この2つの括弧に文字や記号が挿入され、配置されると、
それは、音声を省略した固有名詞(右)とその内容を説明する表意文字(左)であることを示します。
左から、「人名のワシントン」、「ワシントン州」、「ワシントン川」と読みます。*この方法は、略字でない場合にも使えます。 内の内容は、
次にがくるまでの間の表音文字に掛かります。
内容説明の表意文字を前に配置するのは、「連続表意文字は左が右に限定を加える」
の法則に則っているからです。
上の行は、Washingtonが姓であることを示しています。下の行は、
George Washington と、フルネームの中で、ここからが姓であると表示しています。文化が違えば、姓名のどちらを通常用いるか、どちらを前に置くか、慣習が異なります。
日本人や中国人は、通常姓で呼び合うにもかかわらず、欧米人には名前で気安く呼ばれ、
慣習を変化させられています。けれどもこのように区別するなら、
互いに用度の高いほうを前に持ってきて使用できます。
略字と同様の考え方で、一般の個人やグループもロゴを作って自分を指す固有の1文字として
活用できます。筆者はファーストネーム「ヨシコ」のサインに、必要な表音記号を横に並べないで
みんな括弧の中に積み重ねてロゴにした印鑑を使うことがあります。
この略字は、キショー、ヨシキ、キヨシなどと日本名だけでもたくさんの名に兼用できるわけで、
自分一人だけのアイデンティティーを示すコードでは決してありませんが、
アルファベットのイニシャル以上には判別効果があると思います。補助括弧の代わりに独自の枠をデザインすれば、商標、学校や企業のマークなどとして使うこともできるでしょう。
1文字で示されるロゴでは、重ねられる記号数に限りがあります。
各個人のアイデンティティーを判別するコ ードには、ロゴ、名前の音声の全表記、
生年月日・出生地・根拠とする文化や地域・所属する 組織などを表意文字によって
前後に加えていく必要があるでしょう。この法則に則ってご自分の名前のフォントを重ねてロゴを作ってみてください。
大きい正円は、丸いイメージの他、抽象記号の作成にも用います。
数字に重ねると番号を示します。分類には、表意の左括弧も便利ですが、
分類する内容が複雑な場合には、抽象的な番号を一時的に取り決めるほうが便利です。
たとえば、シュプレヒコールなどで、2番の組が発声する音声を2番の記号入りの括弧で示し、
3組一緒に発声する部分を三角番号を入れた括弧で示すなどのように使用できます。
*円を重ねているのは、表音括弧の中にあっても表音記号ではないことを区別するためです。