宇宙は、全体がつながって無限に伸びてゆく。
私たちの脳のニューロンも、有限数でつなぎ相手を変えながら無数の記憶を保ち、考える。
地球語は、シナプスやホルモンの代わりに記号同士の重なりによってつなぎ変える、いわば、外付けの記憶と思考の装置である。
地球語は、伝統言語では満足にできない伝達を助け、同時に各伝統言語と文化を等しく守る代替言語として働く。
そのアイデアは、ヒトが元来もっていた均衡感をとり戻し、戦争のない創造的な地球世界を築きたい思いから生まれた。
― 地球語の目的 ―
地球語は代替言語として、伝統言語では果たせない次の目的を果たそうとする。
1 民族間だけでなく目や耳の不自由な境遇も超えて、地球人をできるだけ「対等」につなぐ。
そして、各自の伝統言語とともに「楕円思考」の2軸を分け担って人々の思考と国際交流を支える。
2 ヒトおよび地球自然の根源とつながりながらものごとを考える習慣をつけ、社会の自然な均衡力を回復させる。
3 共通に自然に情報整理し、読解に要する時間を短縮して、世界を見渡しやすくする。
4 あらゆる創造を生むツールとなる。
5 地球語の開発・教育・創造活動により社会・経済を活性化する。
6 伝統言語を崩壊やゆがみから護り、文化の多様性を壊さない。
これらを、どんなしくみが可能にするか?
つぎは、そのたたき台として提出している私の試案である。
前例のない、全体がネットワークするしくみなので、概要とはいえ、詳細にも踏み込み、しくんだ理由と効果にも言及している。
さらなる詳細と、実際に記号を使った具体例は、「地球語ウェブサイト」の「字典」および「しくみのページ」を参照しながらご覧ください。
*地球語の字典「Earth Language Dictionary」
https://www.earthlanguage.org/dic/dic.htm
*地球語「表意の仕組み・もくじ」
https://www.earthlanguage.org/jsyst/definit.htm
*地球語「表音の仕組みのもくじと概要」
https://www.earthlanguage.org/jsyst/phindex.htm
― 基本は視覚言語 ―
全体像
・見てわかる記号を使用。
直接自分の母語で読んでもいいが、一瞬で捉える視覚の特徴を生かし、時間をかけて音声で読む必要はない。
母国語で読みながら使えば、地球語を使ったせいで母国語を失いはしない。
逆に、母国語の不足部分に気づいて育てることもできる。
情報を明快に示し、伝達・受信をスピード・アップ。慣れると直観力を高めるかもしれない。
音声言語のように響きのリズムや情緒は伝えにくい。
文字による表意伝達が基本だが、視覚記号は、状況に応じて手話・身振り語・触覚記号への転換に労を要さない。
視力を使えない条件下では、記号名の発音による伝達も不可能ではない。
・名前や音真似など、音声そのものの伝達には、表意記号の一部を発音記号に切り替えて伝える。
表音能力を損ねないよう、表意/表音の機能を明確に区別して伝える。
地球語は、あらゆる条件下の人々を地域や時を超えてつなぐ。
音声は出した途端に消えるが、文字は残る。地球語の共有は、人々の意識を刹那的な快楽追求から永遠性・普遍性に向かわせる。
また、自然を基準にイメージを計る習慣のシェアは、人々を所有・支配の競いよりも、協調・協力の喜びに向かわせる。
物質欲よりも、霊性を高める意欲を高め、戦争を無くす下地が育つ。
― 素となる記号 ―
・数式記号を含む70個の表意素記号と、数字・文法記号・括弧の計90記号を使用。
キーボードのキーの数は、現英語版と同数。
・各素記号は、一定の正方形枠内に納まり、ヒトと自然にとっての主要な共通・普遍の主要素を単純化した象形または抽象形のシンボル。
共通に憶えやすく、一度知れば忘れにくい。
地球自然は、一定の秩序をもつ。引力や太陽を回る運動などにより、ヒトは、上下感・重力・動き・温度差などを感じる共通の感覚を持つ。
また、ヒトの目は前を向いているので、前後・左右を区別し、個人差はあっても基本的な体感や感情の働き方も共通だ。
目に見える生物や環境も、類ごとの形に特徴がある。
地球語の基本記号は、それらの特徴を単純化した象形文字、または、方向や動きを感じさせる抽象文字である。
変わりやすい文化基準ではなく、自然とヒトの不変要素によってものごとを捉えることで、常に命の源とつながる意識が育つ。
・三次元世界を二次元の文字にするため、恣意的な約束ごとが一つある。それは、文字の流れを左から右に進めること。
そのため、右向きの矢印的な記号は進行方向や外にかかわり、左向きの記号は戻る方向・元や内に関係する。
後述の手話も、この設定でナチュラルに対応する。
・地球語フォント(ダウンロード・フリー)は、コマを進めるスペース・キーを押さなければ、同じ場所で記号を重ねて打ちつづける。
スペース・キーには、一マス以外に、半マスもある。
数字のみの入力には、数字ごとに半マス・キーを押す。
文節間や終止符の後のスペースについては、特に規定せず、自由。
― 「重ね文字」による造字 ―
・複数の素記号を重ね合わせる方法で、必要に応じて「重ね文字」を造字する。
素記号は、いくつかを重ねても元の形がわかるよう作られている。
多く重ねてもすっきりと美しい形になる場合もある。
そこで、重ねる数をルールによって限定はしないが、見やすいのは2〜3重ね。
複雑な1文字で表現するか、分けて熟語にするかは、使用者が判断。
・「重ね文字」には、素記号の意味を離れて、重ねた形が何かを象る新しい象形文字とする場合と、重ねた素記号の意味を合わせた抽象概念を表す文字とする場合がある。
少数の記号から限りなく造字できる一方で、常に基礎概念によって情報整理し、文字自体が辞書の役割を果たす。

多くの概念が1文字でコンパクトに表示でき、絵文字感覚で使える文字も多い。
ロゴや広告に使えばインパクトが大きく、地図やグラフやマインドマップなどの小スペースには、多くの情報をわかりやすく載せることができる。
漢字は、250以上の部首を用い、平面上に配置して文字を構成するが、勝手な造字はできない。
地球語では、字典に定める組み合わせだけでなく、自由に新しい文字表現を試みることも、個人専用文字の作成も可能。
伝統文字で聞き書き中に、地球語文字を混ぜると速記できる。
また、あとで見直すとき、地球語部分が目立って標識になる。
すべてのキーを重ね打ちすると、正方形枠内がほぼ隙間なく塗りつぶされる。
数記号重ねても元の記号を見分けやすく配置した結果だ。
白い無から始まった世界が、要素に分裂し、それらが多様につながって今日がある。
私たちはその一部分のつながりに意識を当てているが、実は宇宙の内容すべてがつながっていることを、このフォントが感じさせる。
私たちの世界は、量子サイズから銀河サイズまで内に外にフラクタルな構造で広がっている。
ヒトは、その中間にいて、遠ざかるほど捉えにくい。
そこで象形記号は、ヒトの五感で感じられる身近な形や特徴を基準とした。
たとえば月は、宇宙からの目で見れば、数ある衛星のうちの一つ、地球の衛星だが、地球語では、月を象る象形文字を基礎文字とし、「衛星」は、月と「同類記号」を重ねて表す。
「恒星」も、「太陽・同類」の重ね文字。「顔」や「頭」は、犬や魚ではなく、ヒトの部位の象形。なるべく身近にイメージが即浮かぶ記号を基礎に展開する。
・ 数字や文法記号にも、他の記号を重ねて数にかかわる表現や、働かせ方の区別をする。


漢字圏と横文字圏では大きな数字の桁数の区切り方が異なるため、異文化の数字は読みにくく間違いの元だ。どちら側も読みやすいように短縮している。
― 文法 ―
・文法記号
文法専用記号5個を用いるほかに、最小の素記号5個も、単独の場合のみに文法記号として使用する。
そのほかの素記号は、それ自体でも表意文字として働く。
小さめの文法記号が文字の流れにくびれをつくり、文の構造が見やすい。
・語順は自由。文節の文中における役割は、文法記号で明快に示す。
各自が慣れた伝統言語の語順で表現しても、相手に間違いなく伝わる。と同時に、文化差があることも伝わり、互いに注意深くなる。
・すべての表意文字は、モノ・こと、または何らかの状態を表し、品詞として区別はしない。
・文章は左から右へ進め、ピリオドで1文が終了。
・1文字だけでもその後にピリオドをつければセンテンスとみなす。
視角伝達では、シンプルが親切。手話も容易。
また、1文字表現は、共感を呼ぶインパクトが強い。
例: 感謝{喜びを受け取る心}+ピリオド=ありがとうございます。

・挨拶も、同じく1文字+ピリオドで済ませてよい。
挨拶の表現は自由だが、オールマイティとして「平和世界」を意味する{球・全体にかかわる円記号+ずっとつづく+回転するコマ}を象った「均衡」の重ね文字を選んだ。
コマは、全体が調和して回ることで立ちつづける。
この挨拶のたびに、回るコマ世界の一角に自分が居る感覚が刺激される。
・主語符
主語は、述語の主体が明確な場合には必要としない。
語順が自由なので主語の位置も自由だが、文頭以外に置く場合には、直前に主語を示す文法記号を置く。
この記号(○)は、他と重ねたとき、価値や重要性にかかわる意味を加え、代名詞の構成要素でもある。
複数の代名詞には、複数記号を重ねる。
・2つの動詞符
表意文字や文字群は、動詞符を前に置くと動詞化する。
その働きや動作の実際の担い手が、文中の主体か、対象か、によってDとEの2つの動詞符を使い分ける。
たとえば「機能」を意味する基礎文字がD動詞符を伴えば「働く」の意味に、E動詞符を伴えば、「使う:(対象)を働かす」の意味になる。
D動詞符につづけて「目」の象形文字を置くと、(主語の目が働く→見る)、E動詞符と(目)では(他者(対象者)の目を働く状態にする→見せる)の意味となる。

英語では、function – work – use や eye – see – show のように、意味は関連しているのに全く異なる音声のことばを憶えねばならない。
地球語では、少ない暗記量で多様な表現が可能。
動詞符に、「時」に関連する矢印的な記号を重ねて、動詞の時制を示す。
否定・禁止・可能などの意味の素記号を重ねると、・・しない、・・してはいけない、・・できるなど、働き方を指定する動詞を構成する。
・修飾の仕方を変える「前置符」
モノや事を表す語の直前の語または語群は、形容詞のように後続語を修飾。
動詞や述語の前の語または語群は、副詞のようにつづく動詞を修飾する。
位置で区別できるので、形容詞と副詞を区別するために変形する必要はない。
この一般順序を変えて、後続語に前の語を修飾させるときには、間に「前置府」を挟む。
前置符は、後ろから前を指す小記号1個だけだが、相応する意味の基礎文字を重ねることにより、〜へ、〜から、〜を通って、〜によって、〜のような、などと関係性の詳細を加えることができる。
・単語や文節や文をつなぐ「接続符」
単純な並列ツナギには接続符のみを間に挿入。
〜または、〜しかし、〜おまけに――などと、意味を加えて接続するには、接続符に「否定」、「逆」、「加」などの意味の記号を重ねる。
・「文頭記号」で相手に返答を求める
呼びかけ、質問、依頼、命令など、返事を期待する会話文は、相手に何を求めようとするかをまず文頭記号で示す。
文頭記号は、「疑問」「求め」などの文字を「点」記号2つの間に置くもの。受け手は、返答への心準備をしてから内容に注目できる。
疑問・質問文では、疑問符が文頭に入るが、疑問のポイントにも疑問符を重ねるか、前に置き、何を知りたいのかを明確にする。
「・・なのかなぁ?」と、自問する場合には、文頭ではなく文末に連続2点と疑問符をつけ、終止符は無用。

動詞符に疑問符がつく質問への「はい」/「いいえ」の返答には、使われたDまたはEの動詞符のみで「肯定」を、それに否定・逆の記号を重ねて「いいえ、違います」・「そうではなく、逆なのです」の意味を伝える。
世界には、Yes, Noの返答だけでは、答え方が逆の文化がある。英語で”Don’t you like it?”の質問に、好きな場合には、 “Yes, I like”と肯定で答える。日本語では、相手は、自分がそれを好きでないと感じて確かめていると考え、相手の立場に立って「いいえ(私は好きです)」と答える。地球語では、こんな文化差による誤解を避けるため、疑問符がついた動詞符の肯定か否定かを端的にしめす。
依頼符の「求め」記号に、「力」記号を重ねると「命令」となり、「心」を意味するハート記号を重ねると、丁重なお願いであることを区別する。返答には、受け入れを示す「器」記号で、「はい、受諾」、拒否するのであれば否定記号のみ、いずれも終止符を加えて返答する。
― 表音のしくみ ―
表意文字だけでは名前などの音声を伝えられない。
そこで地球語は、表音文字も持つ。しかし表音記号セットを別に加えるのではない。
・同じ記号セットの一部48記号を表意から表音機能に切り替えて用いる。
1記号を同時に表音・表意の両方に働かせはしない。
アルファベットなど既成の表音文字は、伝統の担い手の言語に対応するだけで、全世界の発音をカバーするために造られてはいない。
また、表音機能も正しく働かない。ことばの音声は、時代を経て変化するが、記録する文字は旧のまま保たれ、表音機能が乱れてしまったのだ。
地球語の表音のしくみは、意味とは無関係。音声の再現ができるよう科学的な発音のメカニズムを表す。
表音専用の現国際表音記号(IPA)にも劣らない音声区別を、その約1/4の記号数で、しかも判りやすく可能にする。
ヒトに可能なあらゆる発音の仕方が表記できると、次のように役立つ。
@他言語の発音習得を助ける。
➁外国人名・地名など、固有名詞をオリジナル発音で共通化。
B不思議な音声でのアカペラ合唱・喉唄・物まねなど、音声アートの開発や習得を助ける。
・地球語の表音記号は、基礎記号を少なく抑え、それらの「重ね文字」で必要なだけ詳細に音韻を区別する。
表音基礎記号にもまた、主な発音器官や働き方の象形に近い形を対応させ、憶えやすくしている。次のような記号設定である。
○5つの母音:口の開きを象る記号
例:う(小さな三角)、い(1本の横線)、あ(大きな逆ハート型)・・
2母音を組み重ねるとそれらの中間母音を示す。また、詳細な区別には、変化を加える記号を重ねる。(後述)
○子音:15の発音器官の内、メインに用いる器官の形を想起させる記号。そのうち、同器官を使い、有声か無声かで区別する記号には、互いに対称的な記号を当てる。

無声音[p] (両唇の象形)、有声音[b]
(p記号を縦にした形)
無声音[t]
(平舌を象るU形)、有声音[d]
(U形の上下逆形)
無声音[s](歯茎の象形)、有声音[z] は[s]の上下逆形)
子音同士を重ねると、それらの中間子音を表す。
―音韻を変化させる記号―
これには、基準の舌位置を少し前/後にずらす、口を丸める、破裂・摩擦・鼻音化・長音化など、息の出し方を変化させる記号、肺呼吸を声門で閉じる、あるいは吸い込みながらの発音に変化させる記号、強弱・高低のアクセント記号などがある。母音・子音両方に用いる。
例:鼻音化記号(縦棒)を[p]に重ねると[m]、[t]
に重ねると、[n]。(上図参照)
母音に長音化記号(表意では、線・線状・長いの意味をもつ)を重ねると、その母音を長くのばすことを示す。
非常に長い場合には、長音化記号を次のコマにも繰り返す。
このように表音のしくみでも、器官の動きや空気の流れが目を通じて感じられる設定。
なので、生まれつき耳の聞こえない者にも、体性感覚を通じて音声の違いをいくらかは想像できるだろう。
・表音重ね文字は、重ねた記号の特徴を組み合わせた1音素を表す。
そして、音声の流れは、音素文字を左から右へ「時間順」にならべて表現する。
ハッピーの「ハ音」は、アルファベットやIPAでは[ha]と2文字表現されるが、これは正しくない。
お試しあれ。[h]を発したのあとに[a]を発音してもハ音にはならない。
「ハ」は、[a]の口を開いて出す[h](声門摩擦音)。
maや [ta]や[sa]は、子音から母音に移行する時間差がある。
が、「ハ音」の場合、[h]と[a]は同時でなければならず、重ね文字でしか示すことができない。
・
英語のアルファベットのA・Bは、エー・ビーと名づけられている。地球語の基礎記号にも各1音節の名前がある。
憶えやすいように、表音役目のある基礎記号は、表音機能に関係した音節名としている。
― 情報整理用の括弧 ―
・
3対の情報整理用の補助括弧を使用する。
表意・表音が混在する文中の表意・表音部分の区別をする「表意括弧」「表音括弧」の2対と、記号の元の設定を無効にする自由記号設定のための「意味抜き括弧」1対である。
括弧もまた、文字を挿入するための1マスのスペースを抱え、文字枠の左右どちらを閉じるかで、3対(6通り)の括弧の形を分ける。
・
対で使う括弧は、挟まれた部分の表意・表音を区別する。
また、表意文中の文中文をくくって補助記号を括弧内に挿入し、文の構造をわかりやすくする。
・
「1文字略字」を作成する右閉じ表意括弧 ![]()
長い名前や複雑な概念、ときには一文でさえ簡略化して1文字略字で表すことを可能にする。右閉じの表意括弧の中に表意重ね文字が入っていると、それは、重ねた基礎文字が手掛かりとなる何かを表す略字である。
右閉じの表音括弧内に表音重ね文字が入っていると、それは、そこに示された音韻を含む名前または音声の略字である。その略字が文書に初出の場合、その意味を表意両括弧に、音声の略字の場合にはその音声全体の表音表記を表音両括弧に入れて略字に続ける。
発明や複雑な社会機構が激増する時代、公的な略記は必須だろう。英語の略記IPA (International Phonetic Alphabet) などと同様の表現だが、地球語では、略記が1マスで済む。表意の場合にはカッコ内の解説文字数も少なく、かつ、略字に含まれる素記号が内容を想起させやすい。
・
「類別」を示す左閉じ表意括弧
単独の左閉じ表意括弧の中に表意文字があると、それは、次に続く語や名前が何に属するかを類別している。
学名として界・門・綱・目・科・属・種の所属性を示すには、「生物」界から始まり、分岐した順に象徴文字を左閉じ表意括弧にいれて並べ、最後にその種の特徴を捉える象形または抽象文字を置く。
一般的には、例えば「モンシロチョウ」は、類別括弧にいれた「蝶」の後に「白」を置く2文字で構成。
「白」「蝶」を並べただけでは、表意名ではなく、「白い蝶」の意味となる。
主な生物(科)や形あるものは、特徴を捉えた象形なので、慣れると顔文字のように反射的にキャッチできる。

外国語で困る一つは、固有名詞。全部が大文字の文の場合、一般名詞かと辞書を引いても出てこない。
固有名詞とわかっても、人名?地名?なんの名なのかわからない。
ワシントンなどは、人名・首都名・州名・市名・山や湖の名、タウン名・道路名・学校や大学名・・アメリカでは、あらゆる所にこの名が使われている。「ワシントンから来た」といわれても困惑するが、類別括弧の一字が加わると、するりと伝わる。
・ロゴ作成や、プライベートな伝達に「意味抜き括弧」
両方または片方の括弧に文字を挿入すると、その文字から表音・表意の元の機能が抜き取られる。そして自由に独自設定でその組み合わせを使用できる。
地球語の記号は、すべて何らかの意味か機能を持つため、イ・ロ・ハやA・B・Cのように無意味な記号としては用いにくい。
しかし、この括弧に1文字を挿入すれば、単なる自由記号として利用できる。
上司や先生の姿や顔の形の特徴を思わせる記号の組み合わせを片方の括弧に入れて、1文字ニックネームを作成。
いやな上司の嫌な部分を誇張した文字を仲間と共有すると、使うたびに笑いがこみ上げストレス解消になるかもしれない。
やがてそんな自分は何なのだと反動の気持ちも起きるかもしれない。
自由設定記号は、略字による便利さだけでなく、あなた自身を知る思いがけない手掛かりにもなり得る。
― 多手段で伝える −
・地球語手話
素記号の単純な形は、
@手をその形に動かして示す
➁片手で象る、象れない小さな記号は、手の位置で示す
という2種の約束のもと、手話でも伝達が可能だ。
@と➁を同時に片手で示すと2重ねの文字、両手を使えば4重ねの文字まで一時に可能。
重ねきれない場合には、ハイフン記号をはさんで重ねを示す。
地球語の世界では、聴力障害を持つ人々だけでなく、異民族の交流でも手話を使用する。
各自のことばで話しながら、直にそれをしぐさ混じりの手話で示す。互いに相手との文化差を感じ、思い遣りながら交流を進められる。
地球語の記号は元来憶えやすくできているが、文字とその手話を同時に学ぶと、脳だけでなく、体感記憶も絡み合って文字を忘れにくくする。
健常者も手話伝達の習慣を身につけて居れば、老化や急な事故で聞こえなくなっても慌てないで済む。
手話が奉仕で支えられている現状では、聾者たちは社会のお荷物意識に縛られがち。
また現行の手話は各国語に合わせて造られたため、手話での国際交流も困難。
しかし、健常者がふつうに地球語手話を使いだせば、彼らも対等に交流できる。
聾者にとって音声ことばやアルファベットは抽象的過ぎて学びにくいが、表意象形文字なら理解しやすい。
彼らは、聞こえないぶん見分け能力では、健常者よりも敏感かもしれない。彼らの能力が、未来社会で花開く可能性がある。
・身振り語
手の代わりに全身で記号の形になって伝える手段も考えられる。伝える相手が遠くに見える工事場で働く者同士のサインや緊急事態で助けを呼ぶときなどに活かせる。
象形が基盤の身振り語では、「表すものになる心」が伴う。
現代社会では脳の一部で考えることが多くなり、自然現象やモノとそれを表す全身と心を一つに結ぶ機会が少ない。
ことばが未発達の太古の人々は、全身全霊で表現した。
心を澄まし、始原とのつながりを取り戻すには、全身を動かして自然の一部になりきってはどうだろう。
たとえば、体中で大きな一本の「木」になる、「風」になって動く、「太陽」になって照らす。
すると、心もそれらになり、心身が浄まるのを感じる。
ダイナミックな瞑想体操が、地球語の身振り語から生れた。
セルフ・ヒーリングに働くだけでなく、自然や他者との共感力を養い、自身の空間も広がる。地球語サイトでは、そんな例も挙げている。
*Meditation
Exercise with Earth Language Body-signs:https://www.earthlanguage.org/M-exercise/ME-home.htm
多手段に展開する地球語は、健康手段ともなり得るのだ。
また、地球語人口が増えると、意味をもつダンスや、音楽に乗って無言の動きの中でストーリーを語る舞台アートなども生まれてくるだろう。
・盲人には
地球語は視覚ベースの言語なので盲人にとっては使いにくい。支援できることとしては、素記号の名を発音する音声伝達と、手のひらに記号を書く触覚伝達が可能。健常者同士でも、映画鑑賞中に隣席の同行者にそのタイミングで伝えたいときなどに、触覚伝達は有効だろう。
記録は、素記号のみで綴り、点字の点の代わりに線を浮き上がらせるプリント技術を使えば可能。点字と違い、この手段ならそのままで健常者も読むことができる。しかしいずれも、重ね文字の効果を出せないのが難点。
太古の人々は、何とかしてイメージを分かち合おうと、全身を使って表現した。それが今や、地球の反対側にまでリアルタイムで情報の映像や音を交わせる。人々は、リアリティーを映像と音でキャッチし、ナレーションはAIのことも多い。動くには乗り物を使い、マイクロフォンがあるので大声を出す必要もない。ヒトの知は膨れに膨れ、肉体とその動きの感覚は、薄っぺらになった。
地球語をあらゆる角度から多様な人々の間で練り上げる間に、視覚・聴覚・腕や手や指の神経や筋肉の動き・触覚・・体中が総動員してイメージと絡み合い、宇宙とつながる感覚が挽回できるのではないだろうか。人々が、もっと体と命の深みから思い考えるよう、じわじわと変化につながらないだろうか?
***
「創造」は、すでに知られたものごとを掛け合わせた中から生まれる。
地球語は、基礎概念を組んで新しい概念を生む。たまたま目をつぶって重ねタイプした記号が、思いがけない着想を目覚めさせることも十分ありうる。あなたが閃く心を失わなければ、地球語は、あなたとの間で創造を生むツールになるだろう。
地球語を育てるのは、言語の専門家集団ではない。多様なふつうの人々の遊び心の寄り合いが育てる。太古の人々のように、何とか伝えようと相手を思いやって表現を工夫するうちに、あなた自身の明日を開く心が育っていることに気づくかもしれない。