これは、地球語の文字による下の提言のイラストです。
{01,33,34}: the earth 地球
{42,47}:
boat 船
67: life
いのち
{21,68}:
will 意志
{10,42}: sea
海
42: wave
波
57: question
疑問
今月は、これまでなにかしなければ、どうすればいいかと考えてきた問題を取り上げたいと思います。これを乗り越えねば地球語も無意味になりそうで。
危機?
Y2Kバグが命の存続を左右する核施設の問題に絞ります。日米政府とも核施設は11月中に安全対策完了と発表していますが、未来の命の危機と警告する科学者も少なくありません*。一施設あたり百から数百ある世界中のマイクロチップの修正や取り替えには時間不足で、誤作動により原発などが過熱し、同時に冷却装置の外部電力が停まれば、チェルノブイリ級の惨事も再現する、また未対応のまま核弾頭をはずさずに時をむかえると、核ミサイルが飛び交うかもしれないと彼らはいいます。
生まれた瞬間から命は死に向かいます。けれど生き物の本能は命を未来にどこまでも伝えようと努力するはずです。その本能が普通の人々の間で希薄化し、どこかで死と終末へ回帰を願う異常な感覚にかわっています。自由競争の世は安楽への多種多様な工夫を産みましたが、安楽は健康を意味しません。競争のストレスで若者さえ疲れています。物質文明は環境を変貌させ、意志とは無関係に個人に影響します。生きるのに必要な「お金」は、命を護るのとは別の仕組みで回転し、努力とは無縁の運に左右されても動きます。数字化した現代社会の流れは、いのち中心の自然をねじ倒しながら回ります。安楽さへの慣れは、個人が矛盾を感じても流れを変える意志を持つより流れに乗るほうを選ばせ、さらに流れを加速します。このまま進めば人類は、集団で海に飛び込むネズミたちと同じ構図です。
冗談でなく、人類は「終末」か「生き延び」かの選択に直面しています。未来へ生き延びるなら「今」が流れを変える時です。文明人が健康な命を取り戻すには、安楽さに押し流されない意志を持ち、自分もまた環境や社会を動かしていると実感するのが大切だと、この構図は語ります。しかし実際に世の流れを一挙に動かすのは無理な話です。
y2kは、流れを変えるまたとないチャンス
ところがY2Kバグには、これを可能にする要素があります。一つは、終末をもたらす可能性を抱えながら、天災とは違って人類の意志の力で阻止もできる要素です。
①各非常事態用の原子炉緊急冷却システムを備え、バグ修正の確実な完了まで核施設を年末から一時停止する、
②全核弾頭をはずす、
という安全明確な道があります。確実な道を選ばない場合には危機か現状維持かの大賭けです。仮に運良く惨事を免れても世界の意識の流れは改まらずに走り続けます。不自由と経済低下の犠牲を伴う確実な道をみんなの意志で選択すれば、人類が「お金」より「未来の命」を選んだ歴史として次世紀人の意識を塗り替えるでしょう。
Y2Kバグや最近の世情、環境の急な変化によって、小さなミスやごまかしが連鎖して世界の危機をもたらすことを私たちは知りました。一人一人がしっかり観察して危険の芽を見逃さないことが大切だとわかりました。パニックを恐れて危険を伏せるのは危険の拡大につながります。今求められるのは、一人一人が真実を直視する勇気と感覚を大切にして、ごまかしなく問題に立ち向かって生きる意識を回復することではないでしょうか。
もう一つのY2K問題の未来に役立つ潜在能力は、核施設以外や核施設の安全策を取る上で起きる負の要素のなかにあります。北半球は冬、文明の利器の一時停止で日常生活への支障と経済低下は避けられないでしょう。克服には工夫と協力があるのみ、今投げやりな人も困難に直面すると本能が目覚め、生きる工夫と協力の喜びを発見するのではないでしょうか。不自由をしのいでこそ過去の浪費の大きさや文明の恩恵がわかるでしょう。普通時にはできない荒療治ですが、Y2Kは何億の人々に一挙にこれを体験させます。「未来の命」を救う目的で協力して難時を克服できたときの人類の喜びと結びは、何にも換えがたいのではないでしょうか。
日本が地球船舵取りのリーダーシップを
このY2Kのもたらす可能性を十分に理解し、上記の最安全策をみんなで進めながら意識改革に活用しようというのが私の意見です。問題認識の浅い技術後進国の参加を得るには、技術先進国があえて核施設を停止し同じ立場に立つことも必要かもしれません。負の要素の体験は先進国にこそ必要でもあります。実行困難な地域を世界中が協力して支援し、地球全体の危機に知恵と努力を出し合う体験は、個と全体に血を通わせるでしょう。日本は最初にy2kを迎える核利用国で、また被爆体験もあります。CTBT批准を否決して、地上の命を護る指導力を失ったアメリカに代わり核惨事を避けるため、日本が今世界をリードして、「いのち」が活き活きと長続きする世界へと曲がる一歩を進めてはどうでしょうか。
今世紀のはじめ、豪華船タイタニック号は、氷山が浮かぶ危険海域と知りながら迂回せず突き進んで撃沈しました。誰もが安全と信じた大型船は、正面に危険物を見つけても急には避けられなかったのでした。今、「地球船」の目前にY2Kバグという小氷山が無数に浮いていて中には海面下で連なる危険なのもあるかもしれない状況です。避ける舵を取る余裕は、もう秒読みの段階です。