「地球語」ってなに? 世界をどう変える?


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はじめて「地球語」と聞くと、たいていの方は尻込みされます。
ひとつの「ことば」で世界を統一しようとする案だと想って。
でも、ここに提案する「地球語」は、むしろその逆です.
「地球語」は、地球上の多様ないのちやことばや暮らし方や考え方を
「共存」させるための新しい受け皿です。


「地球自然」とヒトの認識要素を基にして
   地球上の人と人をじかにつなぐ補助言語なので「地球語」と名づけました。
エスペラントなどのように音声にたよる共通語ではありません。

「地球語」の主な目的と働き:

  1. ことばと文化の多様性を保ち、互いを尊重しながらじかに対等に交流できるようにする
  2. 伝達上のマイノリティーをなくし、緊急事態の伝達もたすける
  3. 個人的にも世界ネット上でも、情報の整理と利用をたすける
  4. 推進しながら未来に希望を与える
え、世界一の大風呂敷?・・そうです。私のようなちっぽけな個人が提案するには、あまりにも大きい課題です。でも、もし百年後に人類が平和に生き延びているとすれば、彼らにとってこんな「地球語」が必要不可欠な存在になっていると私は信じます。この考えが非現実的で途方もないかどうか、どうぞお考えになってください。
地球語が普及・実用化した世界の問題点についても後に述べます。
過去の言語これから進化する言語 のあり方のページでは、自然のしくみの観点から短かめにまとめています。(01-01,'03)

1) ことばと文化の多様性を保ち、互いを尊重しながらじかに交流

★ 既成言語の現状

現在世界中には5000から6700の言語が存在し、利用者数の最大は、1位:中国標準語、2位:英語、3位:スペイン語、8位:日本語、そして15位までの言語で世界総人口の半分を占め、他の話者は一万人以下ということです。経済のグローバル化に押されて多くの地域で英語などのピジン語(現住民語との混成・単純化した言語)化が進み、アフリカとニューギニアだけでも計3千語が50〜300人の話者しかいない現状だそうです。   ( 『消えゆく言語たち』 Daniel Nettle, Suzanne Romain )

日本でもアイヌ語が風前のともし火です。アイヌ語が消えればアイヌ伝統の詩・祈りの文化も消え、人類は、アイヌが保った自然とのかかわり方や生きる知恵の財産を失います。少数言語民の多くは、貨幣による自由経済とは別の経済の伝統を保ってきました。文明が行き詰まったとき、それぞれの風土に基づく彼らの 幸せへの知恵は、人類にとって貴重なものかもしれません。それが次々失われようとしています。また、護ろうとして内紛や国際紛争が絶えない現状です。

言語は社会の受け皿、暮らしの中から生まれ、生き方に密着しています。今急速に共通語化に走る英語は、多民族にもまれ多言語が混ざって育った複雑な伝統言語です。他者や自然を征する強さを競い、発見と新地・新技術の開拓を争うフロンティア精神とともに発達しました。英語のグローバル化は、そのような競争文化をグローバルに浸透させることでもあるのです。それなのに、古来自然の根源を尊び、いのちの共存を奨励したアジアまでが今英語風になびきます。

地球全体がネットしてかかわりあう社会は、人類にとってはじめての体験です。これまでの一伝統社会とは規模や基盤が全くちがい、対立要素を多く含みます。それなのに伝達は強者の伝統語で間にあわそうとするのは明らかなまちがいです。異文化の意味や名前の発音は曲げなければ伝わらないことが多いのに、翻訳してもらう側は曲がったことに気づくこともできません。こんな不合理、不便、不平等を支える伝達基盤では、社会は軋み、ほんもののデモクラシーを呼べはしません。

ラテン語・ヘブライ語・サンスクリットなどが学問や宗教的な理由からかつて世界語と称して広域で使用されましたが、むつかしくて一部の専門家のものでした。エスペラントは、文法を合理化し憶えやすくしました。けれどこれもまた欧州語から語彙を借り、伝統言語のしくみの域を超えるものではありません。そこへゆくと漢字は共通語とは称されてもいないのに、ロシアを除く欧州の2倍の地域に住む十数のことばの違う民に自分の文字として使われ、中国としてまとまるのに永年役立ってきました。漢字はアルファベットに比べて共存を許すしくみといえます。しかし漢字も、憶えにくさやコンピュータに不便なことから、全世界に奨励はできません。

人工言語の創造は宇宙像を描くのに似ておもしろいので、趣味にする欧米人は多く、アメリカだけでも4万人もが試みたそうです。けれど、ほとんどがファンタジー世界のための音声言語で、それらをつなぐ基準はまだありません。

豊中エスペラント会(エスペラント関係の日本語リンク)
Blissymbolics Communication International(象形文字を使う人工言語、カナダ)
Esperanto: Multilingual Information Center
Constructed Languages
(人工言語のリンク)

★ 自然な共通理解の鍵

ことばは言霊の力を持ち、それをつぶすのは民族の魂をつぶすこと。そう信じた北米大陸の先住民は、ことばの統制はせず、代りに 共通の身振り語で他と交流していました。だからけんかは起きても大戦争にはならず、コロンブス時代には北米に数百の言語と民族が共存していたといいます。新大陸を旅して商った欧州からのフロンティアたちは、その身振り語のお陰で、海・山・草原、どこへ行っても伝達に不自由しなかったと書き残しています。 (『Indian Sign Language』 William Tomkins )残念ながら、合衆国は彼らのこの知恵を踏み潰してしまいました・・・

  現在、(音声)ことばが伝達の第一ですが、アフリカから出発したというヒトの原始もそうだったでしょうか?250万年前の猿人の化石には現代人のような発音器官はないのに、すでに言語脳が発達していたそうです。ゴリラは自然に多くの身振り語を用いますが、ヒトにも身振りが最初のメイン言語だったと想像できます。今でもことばが通じなければ手や体を動かしてなんとか伝えようとします。また     絵や矢印などの記号を描いて伝えます。痛み・喜びなどの 感覚や感情からあふれ出た 声や表情でも察しあえます。

形・色・動き・距離・音・明暗などの抽象的な要素を、ヒトはみな共通に認識します。橙色を温かく、青を冷たく感じたり、逆V形はV形に比べて安定してみえるなどの 共感覚もあります。同じ地球環境での体験の結果です。人種を問わずがっかりすると心は沈み、嬉しいと開きます。{目・水滴}の絵を組んで涙、{目・毛}=まつげ、{目・求める}=捜すなどと、 イメージの複合で別のなにかを想起する能力もヒトには共通です。これらの自然要素は、民族を超えて理解しあう鍵になります。

★  地球社会での新しい伝達

ヒトにはこのように、もともと多くの感覚の複合で捉え、多手段で表現 する能力があります。声なら少エネで伝わるからか、ことばが民族別に発達して伝達の主軸となりました。ですが他の共通感覚や表現能力もつないで活用すれば、多様な伝統ことばが活き活きと共存する社会は、実現不可能ではありません。 それぞれ母語をしゃべりながら、見てわかる記号(手話や文字)のやりとりで誰とも じかに国際交流する社会です。

伝統言語は文化と一体なので言語の統一は摩擦の元です。けれど地球自然の仕組みやヒト共通の認識要素に基づく記号なら、宗教や民族には無関係に受け入れられるはずです。現に数字や科学記号は急速に共通化して国際協力を進めました。日本人は、火・水・山・川など自然に基づく漢字を日本語で発音しながら中国の古文にでてきても読めます。発音はちがっても、字形と意味の関係が永く保たれたからです。音声は発した途端に消え、瞬間に生きるいのちを持ちます。変化する運命をもつのが音声ことばです。 形のシンボルは意識的に変更しない限り変わりません。共通のイメージ尺度には、共通のわかりやすさのほかに「不変性」も大切です。 普遍性・不変性 に富む意味の尺度(記号) があってこそ、多様な変化を比べられます。

原始的な伝達の原点をふまえながら多手段に対応する基礎をもち、自然に模して成長する構造の言語(イメージの尺度)を建設・普及することは、伝統言語を共通化して変化に振り回されるよりむしろ容易でしょう。見てわかる記号は、子どもが母語を憶えるのを助け、あらゆる言語の学習も手伝って教育に役立てながら開発を続けられるからです。またそのようなイメージの尺度をもてば、母語を客観的に見直して育てる助けにもなります。

のぞましい地球語は、外国語のような「ことば」ではなく、幼児期からなじみ、母語に不可能な伝達を支え、誰にとっても  もう一つの補助的な母語となるものです。伝統言語は耳、地球語は目や運動、異なる器官の感覚でともに意味にリンクします。対話の相手と意味にいくらかずれがあれば、各自はじかにそれを感じるでしょう。基礎の違いを認識することが他への理解を助けます。

共通に意味を伝達する仕組みだけではまだ足りません。固有名詞 の場合には、発音が同じでなければ伝わりません。見慣れた中国名でも、中国語で聞いたりアルファベット表記ではふつう日本人にはわかりません。あるときアメリカのCMで日立がハイタチと読まれていました。フランスではイタチでしょうか。アルファベットの基準が言語ごとに違うのでこんな問題が起きます。伝統ことばを尊重する地球社会を招くには、わかりやすく正しく発音を表示する科学的な 表音尺度も必要です。

2) 伝達上にマイノリティーがなく、緊急事態にも伝える

★ 伝達手段の現状

日本で暮らす日本人は、日本語をうまく使えない在日外国人の苦労やアイヌ人の苦悩を日常感じていません。本を読みたい盲人や隣人とおしゃべりができない聾唖者の存在も忘れて暮らしています。外国に出たり、突然視覚や聴覚を失う事故に遭ってはじめて伝達上のマイノリティーの立場を体験します。障害者は、同じ境遇の人とひろく手をつなぎたくても、点字も手話も言語ごとに違うので、せっかく憶えてもよそには通じないことに耐えています。

たまたまそんな人が身近にいれば、外国語や点字や手話を習って手伝う人もいるでしょう。ほとんどのマイノリティーは、そんな好意と奉仕に頼って努力するしかないのが現状です。アメリカでは奉仕活動の組織化が進んでいます。しかし奉仕する側は役立って幸せでも、奉仕を受ける側は社会のお荷物意識の克服から出発せねばなりません。

このように、今の伝達社会は不公平をサポートしています。多様に異なる言語や社会の仕組みをもち、それぞれ互換性がありません。翻訳機械があるからいいというあなたは、地球人口の半数以上にのぼる少数民族+障害者を無視しています。そして翻訳のトリックの恐ろしさにも気づいていません。一人一人多大な時間をかけて多言語を習うか多言語翻訳ソフトを使っても、 限られた相手としか伝達できないのが現状です。

★ 理想

将来の子孫が多言語の学習や翻訳に費やす膨大な時間を、共存に大切な研究・調査や協力に直接向けるべきではないでしょうか?それを助けるため、現在ばらばらに使われている さまざまな伝達手段をすべてつなぐひとつの仕掛け、これが地球語です。共通にわかりやすい手話対応の記号なら、コンピュータを用いない無文字の民も取り入れることができます。そしてこの基盤に互いに歩み寄る伝達世界では、みなが 対等にじかに 自分の責任で理解を探ります。一人一人の暮らしが地球のいのちの将来を決める時代には、各自が意志や責任を感じながら語り、生きる姿勢は大切です。

  機械文明の中では、今日元気な人もいつどんな 事故に遭うかしれません。視力・聴力・口や体の動き、何気なく使ってきたそれらを突然なくすと、本人も周囲も悲嘆のどん底です。そんなときに一から新たな伝達手段を憶えなくても、世界中のどこにいても、 慣れた手段の応用で即座に意思の疎通がかなえれば、助かるのではないでしょうか。

見て単純な記号を基に据えれば、手話や点字は文字とは共感して対応できないとする既成観念をはずせます。同じ形を宙に描いたり手で象る、手のひらに書く、遠くの人には全身で記号を象る、または記号の線を地上に描くように走るなどと、相手や   咄嗟の 状況に応じて伝える表現の応用がひろがります。   眼球を記号の形に動かすだけでも伝えられます。記号に名づけておけば、音声で記号と意味を呼び出すこともできます。 マルチ手段を労せず使え、基礎記号を知る一般人に読めることが緊急事態の大きな助けとなります。

3) 個人的にも世界ネット上でも情報の整理と利用をたすける

1)、2)が満たされても、異文化間で誤解が頻繁に起きたり、情報の整理や引き出しが不便なら、結局あまり利用されないでしょう。地球語が未来人の情報生活を支える目的を果たすには、つぎのように働く備えも必要でしょう。

 明快で順序の柔軟な文法
○ 述語(動詞)、主語、目的語、会話体など文中の役目や修飾語、被修飾語の関係が明らか
(英語で言うSVO の順は言語によってまちまちです。母語と異なる順で文字や手話を使うのは容易ではありません。順序が違っても、構成要素が省かれても、内容を間違いなく受け取れる備えがあれば、誰にも使いやすいでしょう。)

○ 質問・依頼・呼びかけなど、他に働きかける意図は文頭ではっきりと

○ 簡潔な表現を親切とする表現上の礼儀
(あいさつや丁寧語などは、文化に応じてさまざま。表現は自由でも、簡潔で礼にかなう共通マナーの備えは情報交換をスムーズにします。)

★ 表音と表意目的の明確な区別
アルファベット言語も漢字も表音と表意の機能を兼用したために、音声の変化によって時代とともに憶えにくくなりました。同じ記号を兼用しても、表意・表音のどちらが目的かを明確に区別し、基礎ルールのくずれを防ぎます。

★ 記憶は最少、表現能力は無限、そして記号を知らなくても内容の基礎要素から検索できる造語のしくみ
多言語を取り込んで育った英語は同義語が多くて不合理です。USのソフトウェアで記号と文字の表を捜そうとすると、 codes, letters, characters, marks, signs, symbolsなどのうち、コマンド用語はどれかと次々試さねばなりません。これらは類語にもかかわらず、文字も音声も全く似てないのでサーチに厄介です。

地球語は、母語との対訳辞書がない民族も使います。わずかな基礎を習うと、あとは地球語自体の中で意味の組み合わせを思い巡らして自然に深めてゆける造語の仕組みが必須です。たとえば銀行について知りたいのに記号がわからないとき、お金(人為的な価値基準)や場にあたる単純な記号から意味を考えてたどりつけるというふうに。未来語・学術用語も同様に 合理的に造語を図ります。
わずかな基本記号を多様に組むしくみは、キーボードや音声入力の便利さも支えます。

★ 記号は、即共通アイコンとしても働く
用語が見てわかりやすい一シンボルで表現されるなら、コンピュータやマップ上の情報を得やすいでしょう。広告をすっきりさせたり、記号を模様化して布地や建築空間でメッセージ性を楽しむこともできます。最初の地球語入力ツールは即共通アイコン造形具ともなり、同アイコンを使うゲームなどで共通に記号を解読する仲間をふやすこともできます。

★ ものの名や固有名詞は、何の名かわかりやすく表示
たとえば松という木の名なら、「木の名」を示す一文字の後に特徴を示す(針・葉)の記号をおくなどの仕組みであれば、はじめて出合った文字でも想像つきやすいでしょう。地名・人名・通りや川の名なども類別のあとに固有名詞の表音が記されると、異文化の側に親切です。内容別の名前の情報整理もしやすくなります。

★ 手がかりの多い略記法
複雑な社会での情報の簡素化には、略記も必要です。それが略記だとわかり、主な内容(表音では主な発音)が見て取れる一シンボルとして略すことができればいいでしょう。

★ 特定枠内だけで自由に定義づけて個性的な情報整理も
  言語の基礎部分は憶えやすく不変的でなければ共通語の役目を果たせませんが、研究や表現活動に合わせて自由に定義づけや編集を行える 柔軟性も併せ持てば、整理も創造性の対象になります。

★ マルチ伝達手段の自然なつながりと技術的な対応
多手段を利用しやすくするには、地球語の具体案は、最初から多手段を意識して全体を見渡しながら進める必要があります。場合によってはイメージを呼び起こしやすい手話から基本記号の形を割り出したり、記号の線を盛り上げてプリントすれば触覚で識別できるよう最初から形を考慮するのです。それによって、自然な手話や、盲人は点字に代えて指で線を読み、一般人は見てわかる共通の基本文字が可能になります。

コンピュータでは、英語で開発されたものとは根本的に異なるソフトウェアを開発する必要がありそうです。ですが、文字の線が浮き出たり手話を演じる手の形のマルチインターフェイスや地球語の自習装置や創造性を刺激するさまざまな機能など、伝統語の世界とはちがった技術が開かれ、これまで日の目を見なかった人々の視点や能力も活かされる時代を開きます。一国の障害者人口は少なくても世界共通なので、特殊な本やインターフェイスのコストダウンももたらします。

(キーボード入力に便利なほどわずかな基本記号から、表現力のあるシンボルを限りなく産むなどとは矛盾した絵空事とお感じの方があることでしょう。文字・手話・文法の 具体案を立てて、上記のような地球語が可能なことを示していますので、どうぞお試しください。まだ粗雑で未完ですが、建設中の 字典にもどうぞ。とりあえず、メモなどに日常語と混用していただくと便利とおもいます。)

4) 推進しながら未来に希望をあたえる

新しい世界の方向と意志
  言語は思考の器です。音声を時間順に直線に並べ進めるアルファベットは、唯一絶対の神への信仰や一列に論理立てる思考を支えて、宗教を掲げて領土を拡大し、また科学を発展させました。ひとつずつが何かのシンボルの文字は、多神教や自然の共存を知らぬうちに支えました。大地に根ざした民がそんな文字を受け入れ、狩や牧畜で収穫を求めて移動した民がアルファベットを育てたともいえるかもしれませんが。領土の拡大や地球資源には限界があるのが見えた今、求める場を失った一列論理思考型の民は技術の先端に矛先を向けています。が、先端を競える人口はわずかで、希望をもてず投げやり・刹那的になる人が少なくない文明世界の現状です。

個人は、意志によって活きます。人類もまた未来に継続する展望と意志をシェアできれば活きかえるでしょう。地球語は、それぞれの生きる大地と伝統と自身の条件にプライドを持ってみなが共存する新しい世界への方向を示しています。参加は強制されませんが、プライドをもちたい一人一人の意志によって世界は元気を出せるのではないでしょうか。

みな同じ出発点に立つ
文明を基準に先進国・後進国、身体を基準に健常者・障害者などと差を当然として呼ばれます。だから後進圏の民や障害をもつ人々は劣等感をもちがちです。けれど地球語にとっては、技術的なサポートはともかく、言語の案には、ある感覚が閉ざされているために他の感覚がより発達した人々や、大地に直接触れて原始に近い暮らしをしている人々がむしろ新鮮で根源的な知恵をもたらせるかもしれません。地球語の世界へは、誰もみな同じ出発点からのスタートです。歴史に幕を降ろすのではなくて、 地球民史のスタート地点にいっしょに並びます。

知る喜び・他を理解する楽しさ
自然の基礎的な要素の組み合わせで造字する地球語では、文字に親しめばその内容が自然にわかります。抽象化されていても、文字は常に自然の基礎イメージを呼びかけます。そしてそれらがさまざまに組み変わって別のものを表現します。自然への観察が深くならずにはいられないでしょう。

  また辞書の建設に協力するとき、異文化への理解が開かれるでしょう。実際に私は、自身がいかに日本的な発想をするかを、地球語への協力者たちからのメールで気づかされました。たとえば、「心」は感情と思考の統合したものと思ってきましたが、感情と思考はまったく別の現象だから一括できないと欧米人から総攻撃を受けました。また、私には祖先は上に位置するイメージがあり、関連して「過去」の表現に{上・時}と組んでいたことがありました。ドイツ人から、未来こそ上にあるべきものと指摘され、東西の基礎イメージの違いに感じ入ったものです。互いに納得するまで話し合い、修正しながら字典造りを進めています。こんな比較は尺度を共有しようと考える下だから明らかにできたので、単に互いに英語で交信していたのでは問題にのぼらなかったことでしょう。このような 底辺の違いの発見が文化差を越えた深い理解をひろげます。地球語は、出来上がる前の建設過程から、反対の世界を理解する喜びに巻き込みます。

創造の楽しさ
新しい発想は、新しい組み合わせの出合いから生れます。地球語の推進は、相対する考えの人との出会いをつくって創造性を刺激しますが、文字自体も、偶然の組み合わせで発見・発明・詩的な 着想へと閃きを与えます。また、マルチ手段の表現力によって美術やヴィジュアルな詩、動きの対話を読めるダンスや、表音文字の助けで複雑な音声パフォーマンスなどさまざまな新しいアートの展開も可能にします。そしてそれらは伝統言語の壁を越えて、誰とも じかにシェアできるものです。

地球語が動き出すことは、世界中で教育・出版・サポートするプロダクトなどが動きはじめることを意味します。物質的な資源は特に使わずに、新職業をふやし 社会を活性化します。多言語の翻訳資材や手間エネルギーは地球語活用の拡大とともに大きく減らせます。また、伝統言語との対応辞書や地球語によるデータの蓄えにボランティアが欠かせませんが、それは異文化と出合う楽しい活動です。知的ボランティアの輪を世界にひろげ、平和の花の咲き競いを誘います。

5) 地球語の普及と実用世界の問題点

普及後の将来の問題点も最初から推測して覚悟してかかったほうがいいでしょう。

固有の伝統は担い手が意識して
正確な発音表記、手短かな表意の地球語文字が身についた時代には、伝統文字が憶えにくく表現力不足ならば、次第に日常生活で使う機会を減らすかもしれません。地球語は、伝統の「ことば」は同時併用して護りますが、「文字」は必ずしも保証しません。伝統文字は、固有文化の一環として意識的に伝え継がれる傾向になります。地球語では、未来の暮らしに合わせて自由に造語できますが、その母語でのいいまわしは当然伝統の担い手が決めます。未来の母語をどう育てるかは、使用者にかかっています。固有文化継承者としての意識をもちながら地球語を共有することが大切でしょう。

古典の中から地球語に翻訳されなかったものが忘れ去られる危険性もあります。子孫に残すべき重要な資料の発見や整理も地球語の推進と同時に進めるとよさそうです。

ギャップ
普及の過渡期には、インターネットの普及時と同様に地球語を利用する・しないで考え方のギャップができるでしょう。

地球語に翻訳された資料は、外国語に翻訳された資料と同様に誤解曲解を含む可能性があります。たとえば、日本語の古典の英訳のなかに大きな誤りがあっても、英文しか読めない読者は気付きようがなく、ときには間違ったまま何十年も誤って利用された場合もあります。地球語データベースへの読者によるチェック報告を習慣化して、これを防ぎます。地球語資料は、現在のどの言語よりも永くひろく同じ文体で読まれる可能性があるので、共通データはみんなで育てる意識が大切です。

方言発生の可能性
もしも勝手気ままに地域や分野ごとに造字されると、共通伝達の機能が薄れてしまいます。全体の基本システムが乱れないよう、ルールに沿う利用マナーが求められ、また字典への登録を管理する組織も要するでしょう。

社会変化
現代社会は複雑に見えても、結局は強い力がものをいいます。そこで力が競われ、いのちの環境破壊を招いています。地球語を介する世界では、常に多角度からの意見が集合される複雑を乗り越えてゆかねばなりません。アルファベットは 直線の力で時代を切り進めましたが、マルチ手段の地球語は、さまざまにネットしてつなぐ性格をもちます。多様な知恵や才能を互いに引き出しあい、 ともに育つ喜びという新しい価値観が力に代わって機能しはじめたなら、未来は続くのではないでしょうか。

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このような概念の(私の試案という意味ではなく)地球語世界の実現の時期は、あなたの意志と行動にかかっています。
( first uploaded in 1996, details were a little changed later )

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